到達目標

初修外国語の到達目標の設定

 名古屋大学では、全学部生に対し、1年時の選択必修科目として、前期・後期それぞれ週2コマの初修外国語の履修が課されており、文系の学生は、さらに2年時に週1コマの授業が履修できます。しかし、このわずかな期間の間に学生が習得できる能力は、当然のことながら限られてきます。

 初修外国語の到達目標の設定は、1年間あるいは2年間の短い期間に何を身につけることができるのか、学生に明確な目標を持ってもらうと同時に、教える側の教員にも、より効果的ではっきりとした教育方針を立てることができることをねらって行ったものです。

 「1年間の学習で身につけて欲しい能力」の項目は、これから自分たちの受講する授業でどんなことができるようになるのか、その目標を立て、そして1年間の学習終了後にどんなことができるようになったのか、学生諸君で評価できるように、できるだけ具体的な既述を心がけました。「文法的な知識」の項目は、「1年間の学習で身につけて欲しい能力」の習得には文法的なレベルでどの程度まで必要なのか、おおまかなことを示しました。もちろん、挙げてある文法項目さえあれば当該の能力が身につくという意味ではありません。

        名古屋大学教養教育院ドイツ語学習の到達目標            (ただし、この表の最後の方に挙げてある接続法第Ⅰ式を使った表現や、 テクストの構造、履歴書等の構成などは、授業によっては扱わないこともあります)

1年間の学習で習得できる能力

そのために必要となる文法知識

挨拶などの基本的な日常表現を理解し、用いることができる。数字・曜日・月などを言うことができる。

アルファベットとつづりの読み方;発音

自分の身分、出身地、住んでいる所、嗜好を述べたり、相手の身分、出身地、住んでいる所、嗜好を尋ねてその答を理解することができる。

1人称・2人称の人称代名詞;文の基本構造と語順;動詞の現在形;否定;2人称親称・敬称

実物や写真を示して、それが何か(誰か)を説明したり、相手に質問してその答を理解することができる。

現物指示のdas;3人称の人称代名詞;名詞の性

自分の持ち物を述べたり、相手や第三者の持ち物を尋ねてその答を理解することができる。

定冠詞・不定冠詞・否定冠詞と指示代名詞・人称代名詞の1格形・4格形;単数・複数

家族や友人のことを記述するとともに、相手や第三者の家族や友人について質問してその答えを理解することができる。

疑問詞;所有冠詞の1格形・4格形;形容詞(主格補語および名詞の修飾語として)

授受を言い表すことができる。また、授受について相手に質問してその答を理解することができる。

冠詞類(定冠詞・不定冠詞・否定冠詞・所有冠詞)と指示代名詞・人称代名詞の3格形

出自、起点・通過点・終点、手段・随伴、位置、方向、対立などの概念を言い表すことができる。また、これらについて質問してその答を理解することができる。

3格支配と4格支配の前置詞;3・4格支配の前置詞

「所有者」や「帰属先」などを言い表すことができる。また、原因・相反などを言い表すことができる。

冠詞類の2格形;2格支配の前置詞

主体の意志・能力・使命・権能、使役、推量などを述べ、同様のことを質問してその答を理解することができる。

話法の助動詞;使役と推量の助動詞

婉曲に自らの欲求を述べたり、相手に対する依頼を行い、その答を理解することができる。

接続法第Ⅱ式を用いた定型表現

時間・距離・気象・生理的または心理的感覚を述べたり、質問してその答を理解することができる。

非人称のes

計画、提案、工程などについて説明したり、質問してその答を理解することができる。

分離動詞;再帰動詞;並列接続詞;zu不定詞句

相手に指示することができる。

命令形

二つのうちどちらがその性質が強いか、また、三つ以上のうちどれがその性質が最も強いかを表現できる。また、これらについて質問してその答を理解することができる。

比較級・最上級

好悪の感覚や良し悪しの判断を述べ、質問してその答を理解することができる。

対格補語や3格目的語を伴う動詞の使い方

過去の出来事について説明したり、質問してその答を理解することができる。

現在完了形・過去形

物事の理由や二つの出来事の時間関係などを表現できる。人や物事をより詳しく描写する文を作ることができる。また、これらを理解することができる。

従属接続詞と語順;過去完了形;関係文

受け身の文を作ったり、理解することができる。

受動態

非現実の仮定や認容を含む文を作るとともに、それらを理解することができる。

接続法第Ⅱ式

人の発言を中立的に伝える文章を読んで理解することができる。

接続法第Ⅰ式

ポスターやチラシ、ウェブページなどを見て、大まかな情報を読み取ることができる。また、辞書を使って、簡単な新聞記事や平易な物語を読むことができる。

テクストの構造

生年月日、学歴などの自分の簡単な履歴や、簡単な手紙・メールを書くことができる。

履歴書、手紙、メールの構成